2010年02月11日

失恋話

「『私、平野さんのおうちで何したらいい?ご飯は作るけど、後は習い事でもしてたらいいの?私商売が好きだから、平野さんのお母さんと一緒に街の中で小さな漬物屋さんをやりたいな』
一緒に食事していた時、彼女はそう言ったんだ」

昨夜、商店街の友人とたまたま二人だけで飲むことになり、ほかの客は皆帰り、店の中は店長と3人だけになったため、今しかないと思い15年間心にしまってきた思いを吐き出した。

「このお母さんとうまくやっていけるかなぁと、彼女は俺に内緒で俺のおふくろにも会いに来たんだ。俺は彼女と結婚するもんだと完全に信じ切ってたよ。それが、ある日突然姿を消しちまった。もう、何が何だかわけがわからずに気が狂いそうだった。
そんな時、Mが用もないのに朝からうちへやってきて、ず~っと一日中一緒にいて夜帰って行った。二人でよく飲みに行くお店のママさんから後で聞いたんだが、『今平野さんを一人にしておいたら自殺するかもしれん』と心配で一日中俺を見張ってたんだそうだ。
もう一人俺のことを心配してくれたN子が『私に考えがあるから彼女の実家の電話番号を教えて』と言ってきたんだ。N子は彼女の家へ電話して『私K子さんの同級生なんですけど、今度同窓会名簿を作ることになったんで現在の住所と電話番号を教えてください』と言って聞き出してくれたんだ。
K子さんは神戸にいた。彼女の家のインターホンを鳴らすと、出てきた彼女はエプロン姿の人妻だった。
『びっくりした・・ちょっと待って』と彼女は顔を覆ってその場にしゃがみ込んでしまった。

K子さんを知ったのは、お前が団体の会報を作っていて、わが街の美人コーナーで“一人で小さな喫茶店をやっている美しいママさん”と彼女を紹介したからだ。それを見て、どれどれと興味本位で俺も彼女の店へコーヒーを飲みに行ったよ。ホントにきれいだった、一目惚れしたよ。それから毎日店に通った。彼女も俺のことを気に入ってくれたようで、二人は急接近していった。
俺がまだ結婚までは考えていなかったときに、彼女の方から俺のおふくろと小さな漬物屋さんをやりたいなんて言い出したんだ。私はそこまで考えているんだから早くプロポーズしろと催促しているようなもんだ。
決まった!と思ったよ。俺はこんなきれいな人と結婚できるんだと有頂天だったよ。それが・・

神戸で彼女に会って、わけを問い詰めると『商店街の陰口が辛かった』と言ったんだ。
『商店街の旦那さんたちが毎日私に会いに店に来て、それを怒ったおかみさんたちが私の悪い噂を言いふらして・・。もう豊田にいたくなかった。早く豊田を出たかった。それで、もう一人私にプロポーズしてくれてた神戸の人と結婚したの』
そんな・・場所で結婚相手を決めたのか・・
『今はあばたもえくぼで私に夢中でも、一生その気持ちのままでいけるわけがない。平野さんのような大きなおうちの御曹司が、私みたいな女と結婚したら世間から何言われるかわからない。後ろ指を指されながらの結婚生活がうまくいくはずがない・・』

俺がパンチーズハウスを応援しているのは、店が賑わっているのを妬んだ商店街の奴らから嫌がらせを受けていると聞いたからだ。
苦情が来るのを承知でトゥクトゥクを店の前に置いてたのは、本気で俺との結婚を考えてくれてたたった一人の人を豊田から追い出した商店街の奴らに喧嘩を売ってたんだ!」

失恋話



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Posted by しょうのみ at 19:52 │日記