2008年12月23日

奇跡の旅 11

「お前はなんてラッキーな奴だ!学校へ行けるぞ」
「はぁ??」
「学校へ行けるんだよ、ラッキーボーイ!」
「学校って、何?」
「お前が作った学校だよ!エーヤワディ管区への通行を許可すると、たった今、当局から連絡がきたんだ!!」
「なんだって!?」
「お前がヤンゴンに戻ってると聞いて、もう一度当局へ頼んでみたんだ。ミスター平野はエーヤワディの貧しい子供たちのために学校を作ってくれた人なんだ。彼がやっているブログに証拠の写真もある。サイクロンで学校がどうなったか心配して見にきたんだ。だから頼む、通行を許可してくれ!ってがんばって担当官に頼んだら、たった今、許可すると言ってきたんだ。お前がミスター平野本人であると証明するためにパスポートが必要だ。持っているか?」
「いや、パスポートはホテルのセーフティボックスの中だ」
「すぐに取ってきてくれ!」

私はジョニーのタクシーに飛び乗り、大急ぎでヤンゴンの中心街の大渋滞の中をノロノロとホテルへ向かった。

なんということだ!正規の旅行社や国連機関で働いていた人に頼んでもダメだったエーヤワディ管区への通行許可を、このゴロツキガイドたちが取ってきたと言うのか!

サイクロンの被災地域であるエーヤワディ管区への外国人の立ち入り禁止は、被災者への救援活動が遅れている軍事政権への外国のマスコミによる批判報道を抑えるための措置である。
軍事政権の外国の報道機関に対する不信感はぬぐいがたいものがある。それは報道機関の方にも少なからず責任があると思う。
スー・チーさんは良い、軍事政権は悪いと、漫画のような正義と悪に単純に分けた報道ではなく、もう少し軍事政権側の言い分にも考慮した中立的な報道をしてくれていたら長井さんの射殺事件も起きなかったかもしれない。
エイズの姉妹の事もマスコミで紹介する事ができたら、もしかしたら家族と連絡が取れたかもしれないのに。

私がマスコミ関係者ではないという事を、プロジェクト遊に何気なく掲載していた一枚の写真が証明することになるとは!
私がこのシリーズに『奇跡の旅』とタイトルをつけたのは、まさにこのことだったのである!

ようやくホテルに着きセーフティボックスからパスポートをひったくると、また大渋滞の中を大急ぎでノロノロと引き返していった。


プロジェクト遊の写真とパスポートを担当官の前に提出した。
学校の壁にかかっているプレートの名前とパスポートの名前が一致する。
小さくてわかりづらいが子供たちと一緒に写っている写真とパスポートの顔写真も同一人と思われる。
「ふむ。どうやら本人に間違いないようだな・・」

そして・・・    そしてついに・・・・

通行許可証に担当官のスタンプが押された~!!!

エーヤワディ管区への通行許可証



許可の決め手となったプロジェクト遊の写真





・・・つづく  

Posted by しょうのみ at 02:14旅行