プロジェクト 遊

自分が住んでいるマンションを税金滞納で市役所に差し押さえられている契約者が、滞納している家賃を2ヶ月分だけ持ってきた。



「俺から社長にきちんと払うように言っときますから」と、その契約者が経営する会社で働いている社員さんが、彼の給料から家賃分を毎月天引きしていた社長にビシッと言ってくれたようだ。



うちのマンションに入っている人がこういうしっかりした社員さんなら、建物明け渡しの強制執行という最終手段まではやらなくても済むかもしれない。
うちも退去が続いていて経営が苦しいのだから、できれば無理に追い出したくはない。

まあ、向こうも不景気で払いたくてもなかなか払えない事情があるのだろうから、あの社員さんを信じて少し様子を見ていようか。


今日の花火大会、去年同様最前列のマス席を予約してあるので雨は勘弁してほしいなぁ・・・  

「大家さん聞いてくださいよぉ、向かいのお爺さんがこんなひどいことするんですよぉ」と、一人暮らしのお婆さんが苦情を言ってきた。




このお婆さんのテレビを見ているときの笑い声や電話の話し声などが、向かいのお爺さんには気になるようだ。
そしてお互いに相手を非難する手紙を送り合っているらしい。







まあ、どちらも生活保護を受けていて家賃の安い古い木造アパートにしか住めないんだから、生活音はどうしようもなく聞こえちゃうしねぇ。
歳をとると短気になり、被害妄想が強くなるのはなぜだろう？
この長屋にはほかにも一人暮らしの人や家族なども住んでいるのに、その人たちには何の問題もなく、ただこのお爺さんとお婆さんだけが仲が悪いらしい。
たまに警察も来て仲裁しているようだが、なかなかいい解決策はない。

そのうち殺し合いに発展しないことを祈るばかりだ。  

家賃滞納の常習犯で、ゴミ出しのマナー違反も常連の、うちに古くから住んでいる困った住人が「車を傷つけられた」と苦情を言ってきた。




自分の車の隣に停めている車の持ち主を疑っているようだったので理由を聞いてみると、どうやらその住人やほかにもいろんな人に迷惑をかけていて、他人から恨みを買う覚えがあるらしい。

「あの人はそんな人じゃない。あんたと同じようにうちに長年住んでいるが誰とも一度もトラブルもなく、自治区の活動などにも積極的に参加している真面目な人だし、そんな陰険な仕返しをするような人じゃない。問題があればまず私に言ってくるはずだ。だいたい傷が付いている場所があの人が車を停めている場所とは反対側じゃないか！」と私がはっきりと否定しておいたが、前にも書いたとおり、やはり自分のしたことは自分に返ってくるものだ。  

中国高速鉄道事故の原因はウルトラマンの仕業だったらしいよ！



  

先日の認知症のおじいさんの家族がマンションへの入居をキャンセルしてきた。




あの時はいっぱい、いっぱいで助かりたい一心でうちへ問い合わせてきたが、うちへの入居が決まりやれやれとやっと落ち着きを取り戻し頭を冷やして考え直したら、認知症の老人に一人暮らしさせるなんてとんでもない恐ろしいことだと気づいたらしい。
亡くなった私の祖母も生前やってくれたが、認知症から来る被害妄想で「お金を盗まれた！」と無実の人を犯人呼ばわりして警察まで呼んでしまう。
一人暮らしを始めて、うちの住人を相手にそんなことをやられたら大変なことになると、あわててキャンセルしてきたわけだ。

正直、うちとしてはホッとしているが、しかし何も問題は解決していない。
結局、これからもあの家族はおじいさんの暴言に悩まされながら介護を続けてゆかなければならない。
いつか思いあまって殺人や無理心中を図らないよう祈るだけしかできない。