2012年03月14日
ストリップ・ストーリー 3
SHOW UP 大宮劇場(しょーあっぷおおみやげきじょう)
埼玉県さいたま市大宮区にあったストリップ劇場、客席数70席、2005年10月10日付けで閉館。
北関東では最もステージが広い劇場の一つであり、演出の内容も、通常のポラロイドダンスショーのみならず、ソロダンスショー、SMショー、レズショーなど多角的であった。
しかし、2004年末に経営者が変わってから、興行内容の幅が狭まり、場内の雰囲気も寂れ、観客の足も遠のき2005年8月20日を最後に興行が打ち切られた。閉館後、しばらくは2階の成人映画のみ営業していたがこれも廃業している。現在、建物は取り壊され跡地はコインパーキングとなっている。
(ウィキペディアより引用)
東京へ行ったついでに足を延ばして行ってみたが、確かにコインパーキングになっていた。

そうか・・なくなってしまったか・・
「ストリップ劇場は客に女の裸さえ見せていればいいんだ」という安易な経営では、お客に飽きられ寂れてしまうのは自明の理だ。
うちの社長はもともと小さな劇団をやっている役者で、観客を楽しませる舞台作りが何よりも好きな人だった。
ここで言う社長とは『ストリップ・ストーリー 1』で書いたボスのことではない。
ボスは普段あまり劇場には顔を出さない。
『公然わいせつ罪』で警察の摘発があった時に逮捕を免れるために、毎月決まったロイヤリティを自分に収めさせ劇場の経営をさせる、言わばボスの身代わりに逮捕されるための囮の社長だ。
舞台興行が好きだった社長はそれを承知で劇場の経営を引き受け、演劇つながりで私も誘われてスタッフになった。
「楽しい舞台を作れば客は来る」と、社長は次々と面白い企画を打っていった。
ヘラクレスのような衣装を着た怪力の男が小柄なストリッパーを軽々と持ち上げ振り回し、まるでサーカスのアクロバットのようなストリップ。
全身を黒く塗り、蛍光塗料で体に線や模様を描き、照明は完全に落として足元にブラックライトを置き、闇の中で蛍光塗料だけを浮かび上がらせ、コケティッシュな動きを観せるダンスチーム。
『猟奇!蛇女ショー!!』ではストリッパーが蛇と戯れるのだが、毎回暑くて眩しい舞台に引っ張り出されストリッパーに体を押しつけられるヘビ君が、お姉さんの臭いお股に頭を押しつけられ「もう勘弁してくれ~!」と客席に逃げ出してしまったからさあ大変!
「うわ~!」「ぎゃ~!」「ひえ~!!」と、お客さんたちは大パニック!
この演し物を一番楽しんだのは照明室からその様子を見降ろしていた私だっただろう。今こうして書いていても笑いがこみ上げてくる。
中でも一番秀でていた作品がこれだ!
舞台から客席に突き出した通称『でべそ』と呼ばれる回転式円形舞台で、二人の美しいストリッパーが愛し合うレズビアンショー。その後ろで一人の歌手がギターを弾きながら今は亡き村下孝蔵の『踊り子』を朗々と歌い上げる。
そのイル・ディーヴォにも劣らない美しい歌声とストリッパーたちが繰り広げる妖艶な世界に観客は静まり返り、ゴックンと生唾を飲み込む音が聞こえるようだった。
「いやあストリップ劇場に来てこんな格調高い舞台を観るとは思わなかったよ」と、たくさんのお客さんからお褒めの言葉を頂戴したが、マイク無しで歌い続けていたその歌手は喉を痛め扁桃腺が炎症を起こしていた。
それでも責任感の強かった彼は調子が悪いことを隠して舞台に上がり続け、ついにある時、次の舞台の準備のためにギターを持って楽屋へ行きかけ客席の入り口にさしかかったところで意識を失い、ドアから客席に倒れこんでしまった。お客も舞台で踊っていたストリッパーもびっくりして振り返った。
すぐに救急車が呼ばれたが、彼は「舞台が・・舞台が・・」と、うわごとを言い続けていたそうだ。
この時の舞台だけはやむを得ずアルバイトの大学生が見よう見まねで歌ったが、「舞台に穴は開けられない!なんとかお願いします!!」と医者に無理を言って点滴だけで退院させてもらい、次からまた彼は舞台に立ち、ついに千秋楽まで歌いきったと言う。
その後、彼は故郷の愛知に帰り、名古屋のアカペラグループのメンバーとして今でも元気に歌っており、「しょうのみ」というペンネームでブログも書いているらしい。σ(^◇^;)
埼玉県さいたま市大宮区にあったストリップ劇場、客席数70席、2005年10月10日付けで閉館。
北関東では最もステージが広い劇場の一つであり、演出の内容も、通常のポラロイドダンスショーのみならず、ソロダンスショー、SMショー、レズショーなど多角的であった。
しかし、2004年末に経営者が変わってから、興行内容の幅が狭まり、場内の雰囲気も寂れ、観客の足も遠のき2005年8月20日を最後に興行が打ち切られた。閉館後、しばらくは2階の成人映画のみ営業していたがこれも廃業している。現在、建物は取り壊され跡地はコインパーキングとなっている。
(ウィキペディアより引用)
東京へ行ったついでに足を延ばして行ってみたが、確かにコインパーキングになっていた。

そうか・・なくなってしまったか・・
「ストリップ劇場は客に女の裸さえ見せていればいいんだ」という安易な経営では、お客に飽きられ寂れてしまうのは自明の理だ。
うちの社長はもともと小さな劇団をやっている役者で、観客を楽しませる舞台作りが何よりも好きな人だった。
ここで言う社長とは『ストリップ・ストーリー 1』で書いたボスのことではない。
ボスは普段あまり劇場には顔を出さない。
『公然わいせつ罪』で警察の摘発があった時に逮捕を免れるために、毎月決まったロイヤリティを自分に収めさせ劇場の経営をさせる、言わばボスの身代わりに逮捕されるための囮の社長だ。
舞台興行が好きだった社長はそれを承知で劇場の経営を引き受け、演劇つながりで私も誘われてスタッフになった。
「楽しい舞台を作れば客は来る」と、社長は次々と面白い企画を打っていった。
ヘラクレスのような衣装を着た怪力の男が小柄なストリッパーを軽々と持ち上げ振り回し、まるでサーカスのアクロバットのようなストリップ。
全身を黒く塗り、蛍光塗料で体に線や模様を描き、照明は完全に落として足元にブラックライトを置き、闇の中で蛍光塗料だけを浮かび上がらせ、コケティッシュな動きを観せるダンスチーム。
『猟奇!蛇女ショー!!』ではストリッパーが蛇と戯れるのだが、毎回暑くて眩しい舞台に引っ張り出されストリッパーに体を押しつけられるヘビ君が、お姉さんの臭いお股に頭を押しつけられ「もう勘弁してくれ~!」と客席に逃げ出してしまったからさあ大変!
「うわ~!」「ぎゃ~!」「ひえ~!!」と、お客さんたちは大パニック!
この演し物を一番楽しんだのは照明室からその様子を見降ろしていた私だっただろう。今こうして書いていても笑いがこみ上げてくる。
中でも一番秀でていた作品がこれだ!
舞台から客席に突き出した通称『でべそ』と呼ばれる回転式円形舞台で、二人の美しいストリッパーが愛し合うレズビアンショー。その後ろで一人の歌手がギターを弾きながら今は亡き村下孝蔵の『踊り子』を朗々と歌い上げる。
そのイル・ディーヴォにも劣らない美しい歌声とストリッパーたちが繰り広げる妖艶な世界に観客は静まり返り、ゴックンと生唾を飲み込む音が聞こえるようだった。
「いやあストリップ劇場に来てこんな格調高い舞台を観るとは思わなかったよ」と、たくさんのお客さんからお褒めの言葉を頂戴したが、マイク無しで歌い続けていたその歌手は喉を痛め扁桃腺が炎症を起こしていた。
それでも責任感の強かった彼は調子が悪いことを隠して舞台に上がり続け、ついにある時、次の舞台の準備のためにギターを持って楽屋へ行きかけ客席の入り口にさしかかったところで意識を失い、ドアから客席に倒れこんでしまった。お客も舞台で踊っていたストリッパーもびっくりして振り返った。
すぐに救急車が呼ばれたが、彼は「舞台が・・舞台が・・」と、うわごとを言い続けていたそうだ。
この時の舞台だけはやむを得ずアルバイトの大学生が見よう見まねで歌ったが、「舞台に穴は開けられない!なんとかお願いします!!」と医者に無理を言って点滴だけで退院させてもらい、次からまた彼は舞台に立ち、ついに千秋楽まで歌いきったと言う。
その後、彼は故郷の愛知に帰り、名古屋のアカペラグループのメンバーとして今でも元気に歌っており、「しょうのみ」というペンネームでブログも書いているらしい。σ(^◇^;)