醤油の実の話

しょうのみ

2012年08月18日 15:33

通りすがりさんのリクエストにお応えして醤油の実の話などひとくさり。

一口に「醤油の実」と言ってもネットで検索していただければおわかりになるように同じ名前の食品は全国各地にあり、どれが本物とか正統というものでもありません。
実際、かつて私が類似品と差別化するために商標登録を申請した時も、そのような理由で却下されてしまいました。
私どもで製造している醤油の実は足助地域の農家で昔から作られている製法を継承しており、技術を教えていただいた先代の話では、「戦国時代にいくさが起きるたびに食料を供出させられ飢えた農民たちが、醤油を作るために樽に仕込んでおいた大豆を取り出して食べたのが始まりと伝えられている」と聞きました。
当時は先代が作る醤油の実を弊社をはじめ三河地域の各漬物業者が仕入れて取引先の食料品店やスーパーに納品していたのですが、その先代が高齢のため廃業すると聞き、せっかくの優れた伝統技術を途絶えさせるのは寂しいと私が願い出て後を継ぎました。もう20年前の話です。
【平成5年1月9日付とよたホームニュースの記事より】



その後、せっかくここまで無添加の自然食品として出来ているのに原料が中国産の大豆や小麦などでは残念だと、遺伝子組み換えではない国産有機栽培の大豆や小麦に切り替え、塩も伯方島産のものに変えたところ原価が跳ね上がり醤油の実の値段も上げざるを得ませんでした。
しかしマスコミで、「いずれ国産の原料に切り替え完全な自然食品を目指す」と公言してしまった手前引き下がることもできず、先代が作っていた醤油の実より2.5倍も高い商品になってしまいました。



「食の安全を守って」、「せっかくの伝統食品なんだから昔ながらの自然製法で」などと消費者は好き勝手なことをおっしゃいますが、そうした声を真に受けてその通りに作ったら高すぎて売れやへんがや・・(>_<)

則定町の「まごころ市場」などに置いてございますので、ぜひ一度お買い求めください。m(_ _)m
温かいご飯の上に乗せていただいたり、今のような食欲が出ない暑い季節なら冷えたお茶をかけて冷たいお茶づけでも美味しくいただけます。


醤油の実は分類からすると「みそ・しょうゆ」のカテゴリーに入り、食品衛生責任者が必要なので私がその資格を持っております。σ(^-^ )
しかし、先代の取引相手がみな漬物業者だったように、昔から醤油の実は漬物の一種として扱われてきました。
それは味噌類なら三ヶ月以上熟成させる工程があるはずなのに、この醤油の実はたれに漬け込んで1~2日で製品化してしまうからです。
じゃあ漬物なのかと言えば漬物に麹菌をまぶして発酵させるなどという工程はない。
私が醤油の実製造を始めるときに食品衛生責任者の資格が必要な「みそ・しょうゆ製造業種」にするか、従来の平野食品の業種である漬物の一種として製造許可のいらない塩干物とするのか、保健所を大いに悩ませたものです。
なお、食品表示法に基づく「遺伝子組み換えではない」という表示について、「分別生産流通管理が行われている非遺伝子組み換え食品の場合は任意表示とする」とありますので、弊社は有機栽培を行っている一農家からのみ原料の大豆を仕入れているため表示はいたしておりません。


うちの醤油の実がよそでは真似ができない味の秘密はこの自家製の醤油。
もちろんこの醤油も国産有機大豆・小麦を使用しており、このまま売った方が儲かるのに敢えて売らずに醤油の実のたれの原料にしています。贅沢でしょう?



国際特許を取得している攪拌装置「エムレボ」も買いましたので、これで醤油をかきまぜる場面をお見せしたいところですが、真っ黒な醤油の中に突っ込んで泡もしぶきも飛ばない静かな攪拌では写真にも撮れない。┐(´ー`)┌


今、札幌の漬物業者が製造した白菜の浅漬けから食中毒が発生し大変な被害を出しておりますが、弊社の醤油の実については真空パック詰めした後に80度の熱湯に30分浸して殺菌してから出荷しておりますので、安心してお召し上がりください。



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