ロビン平野 12
「いや〜ソフトないい声だった。いつものような『どうだ、うまいだろう』と言わんばかりに自慢の美声を張り上げることもなく、スタンダードなジャズを変なクセもつけることなく、こんな風に素直にサラっと歌い流す。なかなかできないことだよ」
風邪で調子の悪い喉をかばって軽く歌ったのがポニー先生にはウケたらしい。
ジャズの合間に、船が向かっている先の仙台にちなんで『青葉城恋唄』を歌った。
「そのまま何か話せ」と先生が目でサインを送るので、「ご当地ソングってその街の情景が浮かんでくるようでいいもんですね」と成り行き任せで適当にしゃべっていたら、「皆さん、ご当地ソングが一番多い街はどこだかご存知ですか?それは長崎です。長崎を歌った歌はなんと2000曲もあるんですよ」と先生がフォローしてくれた。
「そうなんですか〜、ご当地ソングがあるっていいですね。私の住んでいる豊田市は自動車の町で、ご当地ソングがないんですよ〜。作っても何だかトヨタ自動車のCMソングみたいになっちゃいますしねぇ」
市民の大多数が何らかの形でトヨタ自動車の恩恵にあずかっているし、今さら市名改変の問題を問うつもりもないが、挙母市生まれの私としてはこういう全国の人と向き合うような場で自分の故郷を語れないのは悲しい。
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